あんずの種類には新旧いろいろなものが。昔からのあんず在来種に、改良・偶発品種を含めると20種類以上あります。

あんずの品種としては20種類以上があります。昔からあったあんずの在来種およびその派生種に、交配・改良や発見・偶発による種類を含めた数字です。長野県の千曲市・長野市で栽培している主なあんずの種類は平和や信州大実(しんしゅうおおみ)など。青森県の南部町・弘前市・八戸市では八助(はちすけ)などを中心に栽培しています。

あんずの種類によって用途もいろいろ。あんずの種類(品種)ごとの特徴を活かして、さまざまに使い分けられています。

あんずには種類によってさまざまな特徴があり、糖度・酸味や実の硬さなどのレベルに応じて生食・シロップ漬け・ジャム・干し杏といった、いろいろな用途に使い分けられています。以下、あんずの主な種類(品種)について簡単にご紹介しましょう。

あんずの主な品種 (日本国内)

長野県の代表的な品種

品種名 由来・系統 果重ほか 主な用途ほか 収穫時期ほか
平和 大正初期の偶発実生(屋代町森村の南沢氏)。第一次世界大戦の終結を記念し大正8年命名。
爆発的に普及し一時は国内産の80%以上に。現在も長野県の基幹品種
50~70g。
糖分は8.4%~10%位
酸味やや多く「あんず」らしいあんず。ジャムに最適。砂糖漬け・生食・干杏にも 6月下旬~7月上旬
信州大実
(しんしゅうおおみ)
信州大実
長野県果樹試験場が「新潟大実」と「ア-リ-オレンジ」の交雑実生を交配。1980年登録。皮・果肉とも橙色で香りも強い 80~100g前後と大粒。
皮が丈夫で裂果しにくく実も肉厚でしっかり。
糖度10~11%
ジャムに好適。肉崩れなくシロップ・砂糖付けにも。酸味比較的少なく糖度もあり加工・生食兼用。完熟すると香気多く生食用に期待 7月上中旬に成熟。7月中旬頃に出荷

長野県の一般品種

品種名 由来・系統 果重ほか 主な用途ほか 収穫時期ほか
在来種
(特に名称なし)
村に昔からある。育てやすく病害虫に強い。「鏡台丸」「佐竹丸」「稲玉丸」などあんず干し専用品種が派生 20~30gと小さめ。
樹高は一般的な民家の屋根よりも高い。
酸味が強く、あんず干しに適す 7月上~中旬
鏡台丸
(きょうだいまる)
大正時代に長野県埴科郡屋代町森で、在来杏の実生として発見された 平均25g 糖分含量12%位,干し杏,ジャム,シロップに  
幸福丸 長野県波多腰氏育成品種。日本+欧州系アンズの自然交雑実生(偶発実生)より選抜。欧州系アンズの特性持つ 70~80g 生食用。糖度14~16%と甘く食味良好 6月下旬に成熟する早生種
さつき 長野県北島氏育成品種。「平和」×「昭和」から選抜 50~60g。
果肉・糖度・加工は昭和と殆ど類似
二つ割りシロップ漬けに適す。
シロップ漬、ジャムに
6月下旬~7月上旬に成熟
昭和
昭和
昭和15年頃、森村の西村杖造氏が偶発実生を発見。 30~60g、大きいものは60~80g。 酸味が強くシロップ漬け・砂糖漬け・ジャムなどに適す 7月上旬に成熟する中性種。
平和の1週間ほど後で7月上旬~中旬頃
信月
信月
1961年に長野県果樹試験場が「新潟大実」と「チルトン」の交雑実生を交配。1992年品種登録 50~60g、大きいものは70~90g。
糖度10~11%
食味が優れ生食用に最適。加工適性はジャムに好適。砂糖漬けにも 7月中下旬に成熟する晩生種
栽培種の中で最も晩成
信山丸
(しんざんまる)
信山丸
長野県果樹試験場による「山形3号」の自殖実生から選抜、1980年登録。今では栽培する農家も少なく、市場に余り出回らない幻の品種 40~50g前後。
糖度10%前後。
生産数が少なく質が高いため高級アンズとしても人気。甘味と酸味のバランスがとても良い
酸味強くシロップ漬けと生食に最適。ジャム・砂糖漬けにも好適 7月上旬成熟。出荷は6月下旬頃から。
加工用として単価やや高めも、糖度高く加工から生食までオールマイティ
信陽 「山形3号」と「甚四郎」の交雑実生。
1990年(平成2年)登録
40~50g。
糖度10~13%
生食用品種。加熱で肉崩れしやすくシロップ漬けには不適。干し杏やジャムに 6月下旬に成熟する早生種
6月下旬~7月上旬出荷
甚四郎 須坂市南小河原の松倉甚四郎氏が在来種の中から選抜。品種調査会で優良品種に選抜 約30g。
糖度8~9、
pH3.3程度
   
ハ-コット
ハ-コット
「モ-ルデン604」(カナダ産)と「NJAI」(フェルプス×パ-フェクション)を交配した実生から選抜。カナダで1977年に発表。1979年長野県に導入 80~100g、大きいものは100~140g。
皮薄く雨降ると裂果しやすい。
細菌病に弱い
生食用。糖度15~16%と高く食味良好。日持ちやや劣る。
酸味少なく甘み強く、生食専用と言える。近年特に需要が高まっている。
7月上中旬に成熟、7月上旬頃から出荷

その他の品種

品種名 由来・系統 果重ほか 主な用途ほか 収穫時期ほか
アーリーリル 米国で1957年に育成。Rilandの自然交雑実生。1967年以前に日本へ導入   干し杏には不適  
カ-チス   65gくらい 生食品種で甘味多い 7月中旬に成熟する中晩生種
甲州大実
(こうしゅうおおみ)
山梨県東山梨郡勝沼町で偶発実生として発見 平均35g
繊維が少なく軟らかめ
加工用種でシロップ,ジャム加工に  
ゴ-ルドコット 「パ-フェクション」の実生から選抜。 50g前後。 生食に適すが日持ち劣る。 7月中旬に成熟
  米国で誕生し1967年(昭和42年)日本へ 糖度15%前後と高く生食に適す ハーコットと同様、酸味が少なく糖度が高いので生食できる  
サニーコット 独立行政法人・食品産業技術総合研究機構・果実研究所の育成品種。2009年出願 約120gと大きい。裂果ほとんどなし。
甘味と酸味のバランスが良く甘酸っぱい食味。糖度12
  6月下旬。平和より10日程遅く、ハーコットとほぼ同時期
新潟大実
(にいがたおおみ)
新潟原産で昭和初期から生産される 40~60g、大きいものは70~80g。
糖度7~9、pH3.3程度
酸味強く生食不適。主にジャム・シロップ漬け・干杏など加工用に 7月上旬
ニコニコット 独立行政法人・食品産業技術総合研究機構・果実研究所の育成品種。2009年出願 約90g。裂果少ない。
甘味が多く酸味が少なく食味は良好。
糖度13
  6月下旬。平和より10日程遅く、ハーコットとほぼ同時期
八助
(はちすけ)
青森県南部地方と岩手県北部の在来種で通称八助梅
山形県の渡辺氏がオ-プン実生より選抜
70~100g 梅漬、梅酒用
生食用に適すがシロップ漬けなど加工も可能。酸味少ない
6月下旬に成熟する早生種
山形3号 山形県で発見され昭和初期から生産。山形県東田川郡山添村東荒屋の原産 40~50g、大きいものは60~80g。
pH3.3程度
生食向き、日持ち良好だが加工適性は劣る。
平和より肉質・肉色・日保ちなどやや劣る。
甘みあるも酸味強く生食不向き、主に干し杏やジャムに
6月下旬に成熟する早生種。
ライバル 米国で育成。(Tilton×Riland)×Perfection 70~90g。
糖度10.6、
pH3.5程度
   

※収穫時期は長野県の平均的なものです。

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